「和歌山インキュベーションセンター(WInC)」が9月1日、産業機器メーカー「ノーリツプレシジョン」(和歌山市梅原)内に開所した。
左から、伊東千尋和歌山大学長、星野達也センター長、仁坂吉伸和歌山県知事
同施設は、産官学が連携し、ものづくりスタートアップ企業を支援する目的で設立。新規ビジネスを立ち上げ、試作や量産が必要な段階の企業へ、ノーリツプレシジョンの設備提供と技術サポートを行う。県と市、ジェトロ(日本貿易振興機構)和歌山、和歌山大学(栄谷)、紀陽銀行(本町1)のほか、ファンドやコンサルティング会社と連携した支援体制をつくる。
4階のオフィスは全10室。会議室3ブース(定員4~8人)や和歌山大学から寄贈された3Dプリンターなどが利用可能。オフィス1階から直結する工場の一部を、試作スペースとして共有する。
AIを活用したサービスを提供する「New Innovations(ニューイノベーションズ)」(東京)や二輪メーカー「glafit(グラフィット)」(和歌山市出島)が入居を予定する。
和歌山出身のニューイノベーションズ社長・中尾渓人さんは「将来を見据えた研究開発拠点を設置する。業務によっては地価の高い場所は必要なく、地元なら知っていることも多い。大阪が近く、地方都市として不便はない。ベンチャーに興味ある人にとって役に立つ会社になっていければ」と話す。
センター長を務めるノーリツプレシジョン星野達也社長は「スタートアップは、面白いアイデアがあり、開発・試作まではできても量産に向けての開発は難しい。当社の技術や設備は、ものづくりに挑戦するスタートアップと親和性が高い」と話す。「企業が主体となり産官学を巻き込む『和歌山モデル』を、他地域に展開したい。和歌山を社会に発信しつつ、日本のものづくりを強くしたい」と意気込む。