初午(はつうま)の福餅の配布が3月4日、紀三井寺(和歌山市紀三井寺)で行われた。
同寺では、旧暦2月の初午にたくさんの参拝者が厄よけ祈願に訪れ、厄よけ祈願した餅を投げる「福つき大投餅」には、例年300人近くが集まる。今年は新型コロナウイルス感染に配慮し、福餅や菓子などを袋に入れ、マスクをした僧侶が参拝者に手渡した。当日は雨が降る中、参拝者約100人が訪れた。
朱字で「福」と書いた直径17センチメートルの餅や7センチメートルほどの丸餅のほか、「寺」と書かれた餅を手にした人にはお神酒(みき)を渡した。半畳ほどの大きさの餅に朱字で「大福」と書いた餅には、「祈コロナウイルス退散」と書き添え、飾った。参拝者は列を作り、袋を受け取ると中をのぞき込み、当たりを手にした参拝者からは喜びの声が上がった。
袋を受け取った参拝者は「今年も福餅がもらえて良かった。当たりがなくて残念」と笑顔を見せる。子連れの女性は「今年は小さな子どもでも、もらえてよかった」と話す。
前田泰道住職は「福餅を袋で配るのは初めて。本来なら投げた餅を、皆で奪い合って分け合うものだが、新型コロナウイルスに配慮して配布に切り替えた。厄よけ祈願した餅を皆で分け、食べることで厄を払ってほしい。『大福餅』は例年、分けられるように切れ目を入れておくが、今年は投げられないので、コロナウイルス退散も祈願し飾った」と話す。