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和歌山県立近代美術館で現代版画展 版画家60人の作品84点

版画作品「南の海でゆっくり漂う」の前で解説する作者の出原司さん(左)

版画作品「南の海でゆっくり漂う」の前で解説する作者の出原司さん(左)

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 和歌山県立近代美術館(和歌山市吹上1、TEL 073-436-8690)で現在、企画展「現代版画の展開」が開かれている。

和歌山県立美術館で組み作品の謎に挑むフロアレクチャー参加者

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 1950年代から1970年代を代表する版画作品と「和歌山版画ビエンナーレ展」の受賞作を展示する同展。恩地孝四郎、横尾忠則、李禹煥など版画家60人の作品84点を並べる。

 和歌山県は恩地孝四郎、浜口陽三、村井正誠、吉田正次など日本を代表する版画家を輩出してきた。同館では版画収集を続け、1985年から5回にわたり国内外の版画作品を募って展覧会「和歌山版画ビエンナーレ」を開催してきた。受賞作の中には、アルミニウム板や木材、土、石、アクリルなど紙以外の画材を用いた作品もある。大型の作品では縦4メートル・横9メートルを超えるものも。

 学芸課長の井上芳子さんは「通常、版画作品は複数のオリジナルが存在するが、和歌山版画ビエンナーレ展では一点物も募ったことで、固定観念を揺さぶる版画制作のきっかけとなった。中には、『これも版画ですか』と来場者が驚く作品も多い」と話す。

 5月4日のフロアレクチャーには約20人が集まり、井上さんが作品の素材や技法、作品や作家にまつわるストーリーを解説した。飛び入りゲストとして京都市立芸術大学教授で版画家の出原司さんも参加した。出原さんが版画家・山本容子さんの作品「Asparagus Guy(1977)」の男性モデルを指さし、「これね、首から下は、僕」と裏話を披露すると会場からは驚きの声が上がった。

 フロアレクチャーに参加した30代の女性は「学芸員さんと版画家さんの掛け合いが絶妙だった。次のフロアレクチャーも楽しみにしている」と話す。

 井上さんは「版画界は激変している。3Dプリンターの出現やデジタル化によって、かつてない作品が発表されるようになったり、あえて古い技法にこだわったり、テクノロジーと伝統技術を融合させる作家も現れた。今回の展示が版画を考えるきっかけになれば」とも。

 開館時間は9時30分~17時、月曜休館。観覧料は、一般=510円、大学生=300円。高校生以下および65歳以上無料。6月25日まで。

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